JAPANESE / ENGLISH


【T邸 -光の賑わい-】

TJ01
TJ02

敷地と自然
京都の南東。クス、シイ、カシを中心とした山の中腹にある。常緑広葉樹林の森のはずれである。この森と同じ森林植生が日本列島の温帯域の約半分を覆う。
この森の特徴は、樹高30メートル以上の高木も見られる。四季を通じて深い緑で、林床に光が届かないほど鬱蒼(うっそう)としている。林内は下生えの低木も、シダなども少なく、樹木には、見て楽しむ花はない。けれども、葉に照り返す光は美しい。
この建築は、このような日本の大半を覆う森の近くにおける、もっとも単純な建築の在り方を提案している。
木々を抜ける日が、この土地に差している。その日を建築の内にどのように導くか。

TJ03

建築
この建築は、光の賑わいをつくった。単純な形のなかに、建築がつくる光の交叉や重なりを示す。
用途は小規模オフィスである。2階建て。木造。4×15メートルの箱舟のようである。内部には必要最低限のものしかない代わりに、光の彩りがある。
木の壁に開けたスリット、下草の形、花の形、木の葉の形。それらの開口の光は、細々(こまごま)とうつろう。うつろいをうける床は赤い。赤と緑を通した光で建築をつくる。

TJ04

光の賑わい
赤い床の木々の影は、冷たい水が頭のなかに流れ込んでくるように、潤おう。
この建築は光の賑わい。賑わいがあるとは、場所が自然の恵みを備えているということである。恵みを得るとは、人がその精神を自然へ及ぼすということである。
それらは、財物を多くすることでは得られない。

TJ05
  • 建築データ:「T邸」
  • 構造:木造
  • 規模:地上2階
  • 用途:住宅