
花
5つの建築が、1つの花となる時に
建築に住む、幾組みかの男女にとって、
1つの浜辺となる時に、
かれらは、水面に映る窓の形を眺めている。
光の洗浄を眺めている。
巨きな花々の収穫のなかを、
2人の男女が、水面まで出向く。
巨きな花の1つ1つが、あきらかな形をもって、
これがあなたの家の窓だと告げる。
薄い水は花籠さながら、水に浸された様々な形の窓で、土地を一杯にする。
そうして、そのなかの一輪の花のなかへ、
かれらは入ってゆく。

建築
この建築の窓は、
・ 水に映って美しいように、
・ 風景を象徴的に切りとるために、
・ 隣の建築の窓も、楽しんで見えるように、
・ 窓辺の人が、美しい絵となるように、
つくられている。
・ 1つ1つの窓にこだわったのではなく、すべてで1つの表情を狙った。
・ それぞれの建築の窓をつくっているのではない。5つで1つの建築である。
・ 建築は、水面とその反射を生かす、張り切った力になる。
庭の光は、
人が、多様な美しい形のなかを通って、建築の内部へ至るという、建築内部がもつ本来の夢を物語る。
その夢は、
建築の窓は花である。花のように様々な形をつくる。
建築は消え、窓と水面だけでできている1つの世界になる。

水と構造物との関係
私たちは、水と建築との美しい関係をつくろうと考えた。
敷地が大きいことから、建築は、低層で5つの分棟とした。庭をまんべんなく配置した。一戸建ての住宅にとって庭が重要であることと同じように、集合住宅でも、庭は重要だ。
5つの分棟は渡り鳥のV形配列。棟と棟の間隔は6.5メートルある。V形配列は、太陽の光がどの部屋の側面にも届くから良い。棟と棟の窓の位置を容易にずらし、住人どうしの視線も合わないから良い。
5棟それぞれの前に池をつくる。棟と棟の間にも水を溢える。花菖蒲やカキツバタのような水性植物を植える。

敷地
滋賀県彦根市。琵琶湖の東にある城下町である。国宝・彦根城がある。城のまわりは城下町の構造と風情を残している。石垣、土塀、水路、濠(ほり)が残っており、水と構造物との関係が美しい。
敷地は、城下町からは少し離れた場所にある。敷地のまわりの赴きは、他の日本の地方都市と変わりがない。
この建築は低層の集合住宅である。55×33メートルの大きな土地に建つ。3階建ての建築が5つ。1層に2戸、1棟6戸、全棟30戸。